- 多田真悠
ラジオと無線
いただきましたご依頼、ご相談メールにはすべて返信を行っております。 ご依頼、ご相談いただきました方は、メールボックスをご確認ください。 また、ご依頼から授業までの流れについて、「よくある質問」ページに追記しました。併せてご確認ください。 ご依頼、ご相談ありがとうございます。電話はとれないこともありますが、メールはいつでも受け付けていますので、「こんなことに困っているんだけど…」くらいの曖昧な内容でも構いませんので、お気軽にご相談ください。 この間、家族とあまり目的地を決めずにドライブをしていたら、「らきすた神社」と名高い鷲宮神社につきました。(もうちょっと正確に言うと、ちょうど近くを通りかかったので、少し寄り道したのです。) 「らき☆すた」というアニメで有名になった神社だとは知っていましたが、行ったことはありませんでした。土地が余って余って仕方がないのか、各神社内の建物が都内の神社だったら在り得ないような贅沢な配置をしているのですが、見物は神社入り口近くの絵馬です。 人の絵馬を見るのは趣味が良くないし、最近はそもそも絵馬を盗み読みされない対策をしている神社もあるのですが、ここは絵馬(に描かれているイラスト)をみてもらってナンボというところなので、心置きなく眺めてきました。皆、結構絵がうまいな……と思ってたら、これは多分、プロの漫画家さんだろうなというイラストも結構ありました。人の絵馬を見ておいてなんですが、神様の捧げるものなんだから、どこかから印刷してきたイラストを張り付けるのはいかがなものかしら。下手でも頑張って自分で描いた方が神様に真心が伝わるのでは? そして、鷲宮神社の前にとても風情のある甘味処があります。もうそこだけ大正にタイムスリップ。そんな感じ。 「鷲宮神社前のお休み処 大酉茶屋(おおとりちゃや)」さんです。 その風情のある建物も素晴らしかったのですが、私の関心を引いたのは、甘味処の二階にあるミニFMラジオ局でした。 ラジオ局の名前は「FMラジオ鷲宮」。 ラジオ局と言っても、個人(または小さな団体)で行っているすごく小さなラジオ局です。視聴可能範囲はせいぜい100M。個人で行える小さなFM曲を「ミニFM」と言ったりします。結構お金がかかると思うけど、機材と電波の知識があれば誰でもFM局を(せいぜい100Mしか電波を飛ばせないけど!)開局できるのです。 その日はちょうど日曜日で、偶然にもラジオ放送をしている日でした。(後から調べたら、日曜日だけやっているそうで) 通信関係の仕事をしている家族と「おお~! 個人のラジオ局だ! 聞いてみよう!」と鷲宮神社の駐車場から車のラジオの周波数を合わせて聞いてみたら、小さい音なんだけど、リアルタイムで放送している! その前を聞いてなかったから流れはよくわからないけど、「耳かきを他人にやらせるのは怖い。命を預けているのと同じじゃないか」と言うようなことを言っていました。まあ、確かに人に耳かきをさせるってそんな頼りなさはあるかも。 いつか自分でラジオ局を開設して、誰が聞くとも知らない独り言を呟いてみたい……と常々思っていたので、本当に自分たちでラジオ局を運営ている人たちを見て感動しました。 個人的に最近アマチュア無線4級の資格を今年の1月に取りました。これはFMラジオ局を開くためではなく、家族がバイクでツーリングをする際に無線でやり取りできると便利だから勉強してみたらと唆されて、資格を取ったのです。ですがうちにはバイクが一台しかありません。いつか無線でやり取りしながらツーリングをしてみたいです。でもその前にバイク購入資金を貯めないといけません。 さて、これだけインターネットがもはやインフラとして定着している時代に、何故今さら無線に興味を持つのだと思う方もいるかもしれません。 インターネットが問題なく使える間は、インターネットをそのまま使えばいいと思います。個人のFM局と違って、電波制限や音を飛ばせる距離の限界もないし、ゲームもできるし映画も見られます。正直、インターネットの方が快適です。「FMラジオ鷲宮」さんもラジオの聴取範囲が100Mと狭いので、Ustreamやニコニコ動画などの動画配信サイトでラジオの配信をしています。そうしないと、ラジオを聞きたい人は皆、鷲宮神社の駐車場に集まらないと聞けないですからね。 だったら初めからUstreamやニコニコ動画で配信すればいいじゃないか。 わざわざ少なくないお金をかけて、FMラジオ局を作って、聞ける範囲はたった100M。インターネットなら世界の裏側の人にだって届くのに。 そんな声もあるかもしれません。 でもそうじゃないんです。「FMラジオ鷲宮」さんが同じことを思っているかはわかりませんが、たった100Mだって電波に自分の声を乗せて送ることができる。そのこと自体がロマンなのです。 そして、何より大事なのはインターネットがいつでも絶対に安全、安定して扱えるとは限りません。 人は必ずミスをし、機械は必ず壊れ、災害は必ず起こります。 そんな時にインターネットの代わりになる通信インフラが必要になります。それが例えば、ラジオであり、テレビであり、なんだったら狼煙だったり、手旗信号だったり、モースル信号だったりするのです。インターネットは大事だけど、たった一つのインフラに依存してはいけない。そのインフラが災害その他で、壊滅的に使えなくなる日は、いつかどこかで例え一時でも必ず来る。 だから、例えば毎年テレビに押されてラジオを聴く人が減っても、インターネットがどんなに便利でもラジオが無くなる日が来てはいけないと思います。 普段、ラジオなんて聞かないなあ、なんて人も、たまにはきっと家の何処かにあるだろうラジオを引っ張り出してきて、ラジオを聞いてみてもいいかもしれません。 そんな訳で、無線に夢見ている私の手元には、新品キラキラの「無線従事者免許証」があります。「新品キラキラ」というのは比喩ではなく、本当にこのカードはキラキラしているのです。小学生でも取れるけど、立派に国家資格なので、偽造対策のホログラムがカード全体に施されているためです。見る角度によって、富士山、川、桜、風の流れ、総務省のマークが見えます。全部ホログラムなので、キラキラ。とても綺麗です。 しかし大昔に同じ資格を手遊びに取った家族のカードは、厚紙にラミネート加工が施されただけのなんだかすごくしょぼいカード。しかも経過年数のためにカード自体がくすんで、くたびれて、余計に侘しい印象です。同じ資格証なのに可哀そう……。 「免許証、失くしたって言えば、実費がかかると思うけど、新しいキラキラのカードもらえるんじゃない?」 と提案してみたら、 「いいんだよ。これはこのカードの時代に資格を取ったと言う証と誇りなんだから、このままでいいの!」 とのこと。 そうか。そんな考えもあるのか。 色んな考え、色んなインフラ。皆違って、皆良い。